赤いポストのある村 [日々の眺め]
赤いポストのある村
美代子の村は全戸で２０足らずだという
ヒメサユリの花が咲き乱れる季節に
そのよく磨かれた板間の部屋で
生まれたのだという
あの地蔵様の三叉路をなっし
左さぁ折れんのなっし
しばらく下っと
赤いポストが見えっからなっし
おらげはその上だからして
村に向かって下りて行くと
黒髪をきっちりと結い上げた
母親の手に引かれて
１２歳になった美代子が立っていた
おらが年老いて産んだ子だからなっし
こんなでもなぁ
美代子にはなんにも責任はないだからして
なぁ 美代子
おめはここさぁ生まれたのだからなっし
笑うだっけでも
生まれてきたのだからなっし
真夏日
美代子が笑う
無心に
無心に
笑う
赤いポストの影がゆっくりのびて
美代子の笑いに融けていく
この村に
美代子は生まれたのだという
若い頃 笑うだけという美代ちゃんに出会った。
いろいろなことをこの子から教わったような気なする。
心が疲れると 美代ちゃんに会いたいなぁと思う。
今どうしているのかなぁ・・・。
ポストは心の原風景の中にポツンと立って居る。
ポストは村や町の変貌をずっと見て居る。
ポストは人の人生をそっと見て居る。
by 絵瑠 (2006-02-08 22:51)
なんだか、哀しいお話で、それが方言で語られると余計心にしみてきます。
美代ちゃんは今、どうしているのでしょうね。
赤い丸ポストファンは多いですよ。今回会津でも撮ってきましたが。。。現役ではなさそうでした。
鎌倉の棟方志功板画館近くのは現役でした・・・
by (2006-02-09 09:11)
美代子はきっと・・・・・・星の子
by アッキー (2006-02-09 11:39)
美代子は宝物。
そこにあなたが居るだけで、誰もが幸せ。
親は、いつもそうやって子供を見ているよね。
by ｍａｍｉｒｅ (2006-02-09 20:31)
絵瑠さん
ステキなコメントをありがとうございます。
何度も何度も読み返しています。
心の原風景・・・それを探しているのかもしれません。
by タックン (2006-02-09 20:51)
こぎんさん
こぎんさんが訪ねられた会津の、もっと山奥の村に
美代ちゃんの家がありました。
普段は施設で、夏休みだけ帰っていたときに訪ねた記憶です。
お母さんに手を引かれた美代ちゃんは、輝くような笑顔で・・・
この村が印象に残りました。
by タックン (2006-02-09 21:04)
アッキーさん
本当に、星の子だったかもしれません。
キラキラと笑顔をふりまいていました。
by タックン (2006-02-09 21:10)
mamireさん
mamireさんの言葉、説得力がありますねぇ。
あなたがいるだけで、誰もが幸せ
そういってくれる人がいるって 本当に幸せなこと。。。
by タックン (2006-02-09 21:19)
無心の笑顔・・・
得たいと思って得られるものではありません。
生まれながらに神様から頂いたプレゼント。
それを惜しみなく周りの人達に分け与えることができる美代ちゃん。
本当の幸い、って何だろう。。。
by パキちゃん (2006-02-10 23:36)
バキちゃんさん おはようございます。
実際に育てられていた親御さんのことを思えば
こんな無責任なことを言っていていいのかと
思うのですが・・・
本当に美代ちゃんの無心な笑顔には
誰もがやさしい気持ちにさせられました。
by タックン (2006-02-11 10:47)
赤いポストの村はタックンさんの心の中に棲む村なんですね。
美代ちゃんの笑顔が、胸の中ではじけました。
たくさんのポストにこの笑顔が届きますように・・・。
by こーさん (2006-02-20 10:50)
こーさんさん
この記事を書いたら、美代ちゃんにとても会いたくなりました。
リセットできるなら・・・あの暑い夏の日から始めてみたい。
そうです。私の心の中に住み着いてしまったあの村から・・・。
by タックン (2006-02-20 22:25)