「東京物語」 [好きなもの]
古い日本映画を観るのが好きです。最近BSで「成瀬巳喜男」や「木下恵介」を特集していました。映画の内容もさながら、私は、映画の中から漂ってくる その時代の佇まいが好きなのです。
その中でも 小津安二郎の世界は 最近ますます惹かれるようになりました。
若い頃 連れ合いと古い映画館で「東京物語」を見たときがありましたが、その時は、どうしてこの映画が面白いのか分かりませんでした。ただただ 退屈に感じたものです。
その後「小津安二郎の映画を観て映画館を出てくる人は、みな穏やかな顔で出てくる」と言っていた人がいて、そんなもんかと思いましたが、やっぱり小津安二郎の良さを理解出来ずに時が過ぎました。
小津の映画がすばらしいと思えたのは、ここ数年、自分が歳を重ねてからです。父や母を見送り、さまざまな家族の姿を目にしてからです。
特に 「東京物語」は 何度観ても感じるものがあります。
この映画は 家族の崩壊を描いているのだと気が付いてからです。父母がいて子供たちがいるという家族の形が、子供の結婚、独立から始まっていく緩やかな「家族」という形の崩壊。
田舎から子供たちを訪ねて上京してきた老夫婦を通して、「家族」の終演を描いたのだと思います。子供たちが新しく「家族」を作っても、何れは同じことの繰り返し・・・。小津は、人生はそういうものと。
他の映画でも、日常を淡々と描いていくことで、その向こうに見えてくる深い深い寂しさを(しかも 娘の結婚という人生のハレの場ですら)思わせます。
結婚して、時々訪ねた父母の家は 玄関を開けると何とも言えない寂しい時間が流れていました。小津の映画を観て その時間の意味が分かりました。
小津の映画には よく都会の空が映されます。なんにもない空。あれは何だろう?
原 節子さん きれいですねぇ~!
足が太いなぁ と言ってダンツクさんに ひんしゅくを買いました。
今 どんなお暮らしをしているのでしょうね??