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その日の青空 [詩]

 
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        明るい日の記憶があって
        水引草は
         いつでも夏の終わりを
         美しく演出する
        そう あの日
        不意に言葉が途切れ
        私たちは立ち止っていた


         ひとしきり
         風が吹き

         森は
         ひとつの世界に閉ざされる

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         私たちがためらいがちに
         唇を重ねたとき
         杉木立の奥で
         いっせいに水引草が揺れ
         どこまでも神寂びた静けさの中で
         ひっそりと
         秋の花々の
         饗宴が繰り広げられていた
         ハギ ミゾソバ ツリフネソウ リンドウ ノコンギク
         私たちの影は
         花々の中に映し出され
         たちまち
         官能の宴に曝される


         宴は
         やがて終焉を迎え
         森は
         光を誘い
         私たちに
         その日の青空を
         記憶させる


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水族館 [詩]

    

 

           日照りが続いて
           ひび割れた道を
           パラソルをさして歩いて行く

           入口に人はいたのだろうか
           静けさに
           (数万匹の性を孕んだ夏)
           遮断されたガラス張りの通路に
           海の
           明るい日射しが投げ捨てられて
           それは たちまち
           背後に潜む無数の魚たちに絡みつく
           整然と泳ぐ彼らの
            (見開かれたまま 夏の)
           おびただしい眼が
           やがて奇妙な世界へ駆り立てる

 

     

           
           海に
           光があふれ
           刹那
           女のトルソーが
           魚たちと交わっている

           道は
           どこまでも真っ直ぐで
           花いばらが這っている

 

    

 


 (2008年1月19日 葛西臨海公園にて)

  久しぶりに水族館に行きました。
  小さい頃 夏に 海辺の小さな水族館に連れて行ってもらったことがあって
  その時の印象が ずっと残っていて
  私のなかで 水族館は いつでも 特別な場所です。

         

 

      勝手ながら ナイス・コメントはなしということで ごめんなさい (^-^;)        



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