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「母の詩集」 [本]

母の詩集

母の詩集

  • 作者: 池下 和彦
  • 出版社/メーカー: 童話屋
  • 発売日: 2006/08
  • メディア: 単行本

風邪を引いて2日ほど寝込んでしまいました。

熱がある間はひたすら寝て、目覚めると枕元のこの詩集を

少し読んで・・・また寝入って・・・の繰り返しでした。

新聞の広告で見つけて、すぐに注文した本です。

身体が弱っていたからでしょうか

久しく涙を流すということがなかった私ですが

この本のどのページを読んでも涙が溢れてくるのです。

 

この本は、作者池下和彦さんが、認知症になられたお母様と

そのお母様を支えるお父様との生活を、共にされるようになって

からの5年間の日々を、淡々と易しい言葉で綴ったものです。 

 

どうしたの

食事を終えて箸を置くと

母は問いかける

食べ終わったからとわたしは答える

終わったの・・・

母はそう言って涙をながす

どうしたの

話を終えて席を立つと

母は問いかける

話し終わったからとわたしは答える

終わったの・・・

母はそう言って涙をながす

 

 

  

  雨があがった朝

     母は

  隣のうちの上が天気だねと言う

  聞き返すと

  うちの上も天気だねと言いたす

  隣のうちの上にも

  うちの上にも

  秋晴れの空が広がっている

 

  

どの詩も、お母様に対する優しいまなざしに満ちていています。

看病でも介護でもなく、共に暮らしてきただけ と。

 

一人でトイレに行かれなくなったのはいつ

一人で歩けなくなったのはいつ

一人で食べられなくなったのはいつ

一人で風呂に入れなくなったのはいつ

どれもいつからと答えられない

看病でもなく介護でもなく

いっしょにくらしているだけだったから 

 

 母との「介護の日々」が思い出されました。

こんなに穏やかな気持ちとはほど遠く・・・

 

 

 

 


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生きる歓び [本]

生きる歓び

生きる歓び

  • 作者: 保坂 和志
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2000/07
  • メディア: 単行本
 
仔猫(ポポ)を拾って、またこの本を借りてきた。
 
行きがかり上、瀕死の仔猫を拾って育てるだけの話だが、
死んでも仕方がないと思っていた仔猫があるときから
生きる方に向かっていく感動を書いたものだ。
 
「生きている」ことがそのまま「歓び」なのだ・・・と
 
「生きていることが歓び」
 
仔猫が、身体全部で じゃれては飛びはね、じゃれては走り回り、
首を傾げ、耳を立て、ころりと寝入り、そんな姿を見ていると
確かに「生きていることが歓びなんだ」と実感できる。
 
この本は、仔猫に振り回される生活を楽しむためのバイブル。
何度読んだことだろう。
 
保坂和志は「この人の閾」を読んで以来好きな作家。
淡々と人と人との日常が描かれていくなかで、いつの間にか
大きな時間の中に浮遊しているような感じになる。
 
 
それで ポポのこと
どうしても欲しいという方にポポという名前とともに里子に出しました。
きっと幸せになると思っていても、ポポと名前を付けた仔猫を
渡したときは、とても淋しい気持ちでした。
今でも、ちょっと後悔してます。
でもこの可愛い時期に家族になってもらうのが一番大事なこと。
 
 
でも・・・やっぱり・・・さみしいなぁ・・・。
 
 
 

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