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2023年 5月の通信隊 雉 [深谷通信隊の四季]

雉がしきりに啼いている。
草が生い茂っていてなかなか姿が見えない。
それぞれが自分のテリトリーを主張して
あちこちでケーンケーンと啼いている

                     (雉の写真は以前通信隊跡地で写したもの)

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雉と言えば、昔母方の祖父の家は蔵作りで一階が居住空間
その2階は終日窓が占められている座敷で
一歩足を踏み入れると独特の湿った匂いがした。

ひんやりとした空間に目をこらすと、棚に何羽もの鳥の剥製が浮かんできた。
その中に一段と派手な羽模様の雉がいた。
らんらんとした目が不気味で思わず後ずさりをしてしまうほど存在感があった。

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そんな雉でも我が家には正月近くになると
近所の人が狩りで仕留めた雉を持ってきてくれた。

まだ生暖かい雉を父は台所に逆さに吊るした。
血がぽたぽたと落ちるのを私たちは陰で見つめた。
雉は我が家の台所に不似合いなほど美しかった。

しばらくして、父は外でその雉をさばくのを子供たちに見せたがった。
羽をむしり、父は丁寧に雉の体をさばいていった。
「これが心臓、これが卵巣等大皿にきれいに並べていった。
ぐったりとした長い首だけが残っていった。
その首の真っ赤なとさかが生々しく、強烈な印象として記憶にのこっている。

今ならそんな場面を正視することができないが、当時の我が家はそれが当たり前だった。


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さばかれた雉肉は早速汁に入れられ、夕餉の食卓に並んだ。
その濃い味は今でもはっきり思い出せる。
美味しい美味しいと私たちは何回もお代わりをした。

今、ここ通信隊跡地で啼いている雉の声を聞くと
たちまち当時の味が思い出される.

だが今、国鳥でもある雉を再び食べたいとは思わない。

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        ドクダミの花


609.jpg

                    キャットミントの花 

+++++++++++++++++++++++++++++++++++;++++       


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雉の写真を探していたらチューニャンの若い日の写真がでてきた。
十年以上も通信隊跡地で何匹もの子供を産み、育て,たくましく生き抜いたチューニャン
今は老後を我が家で過ごしている。この写真のようなたくましさはなくなって
ひっそりほとんど寝てばかりのおばちゃん猫。

その寝顔を見ていると同じように老いに向かっているわが身に重なってくる。

KIMG0477~2.jpg



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コメント 19

mm

こんにちは^^
雉、まだ食したことが無いです。同じような思い出は鶏にはあります。うちで飼っていた鶏を兄がさばいたこと。でも兄はそれ以来鶏はどうも食べたくなくなった、と申しておりました(^^;
生き物はみな年老いていきますね。わたくしも然り。
by mm (2023-05-20 12:59) 

タックン

mmさん こんにちは
雉は比内鶏のようなコクのある味がします。
幼い時は抵抗なく食べていたのに、今はだめとは
鳥もさばく人がいるから食べられるわけですが・・・
感謝しなければなりませんね。
終日寝てばかりのニャンを見ていると、あの精悍だった頃が思い出されて寂しい気持ちになります。
私も若い頃があったはずと思いながら^^
by タックン (2023-05-20 16:34) 

夏炉冬扇

チューニャン。
重なる写真。同じです。ゴールを実感する年になりました。
私の場合、鶏ですね。おふくろが取り仕切っていました。
by 夏炉冬扇 (2023-05-20 20:36) 

kiyotan

ぐったりとした雉のトサカの生々しさ
目に浮かぶようです。
トサカって雉や鶏独特のものですからね
人間って残酷ですね
チューナンの若い頃の元気な姿 今はうちの中で老後を寝て暮らす タックンさんの生き物を見る眼差しは暖かくまた誠実ですね
by kiyotan (2023-05-20 20:38) 

そらへい

雉がよくいるのですね。
こちらではたまに田んぼの方にいるようです。
一度だけ、家の裏にいてびっくりしました。
結構大きい鳥ですね。
我が家では、父が鶏をさばいていました。
じっくり見たことはありませんが、
タックンさんの記憶に近い光景は覚えています。
父は鶏をさばいた日はあまりおいしくないと
こぼしていました。
by そらへい (2023-05-20 21:17) 

タックン

夏炉冬扇さん こんにちは
夏炉冬扇さんも飼っていたワンちゃんを大事に、
見送った後も月命日など供養をされてすごいなぁと思います。
物言わぬ犬猫が老いていくのを見るのは辛いですね。
私たちがゴール前に見送らなけばと思っています。
鳥をさばくこと、昔はどこの家でもやっていたのですね。
by タックン (2023-05-21 09:23) 

タックン

kiyotanさん こんにちは
雉のトサカや羽色は鮮やかだけに目にとまりますね。
通信隊でも捕まえる人もいないので増えていますが
見かけるたびにあの鳥を食べた日がよみがえってきます。
結構強烈な思い出です^^
一日中寝ているチューニャンをみると、最後まで通信隊猫として生を全うさせた方がよかったのかなと思ったりもします。



by タックン (2023-05-21 09:36) 

タックン

そらへいさん こんにちは
通信隊は雉が生育するのに適しているのかもしれません。
朝方あちこちで啼き声が聞こえます。
鮮やかなオスはすぐ目につきますが、地味色のメスが雛を数匹連れて歩いているのも見かけます。
昔はどこの家でも鳥をさばいたのですね。
子供には結構強烈な記憶として残りました。
美味しかったという記憶もあるのですが^^
by タックン (2023-05-21 09:45) 

sakamono

鳴き声を聞くばかりで、今シーズンはまだキジの姿を見て
いません。昔は食べるものを、自分で調達したのですよね。
そこまでの古い世代ではありませんが、母は野草を摘んだり
していました。さばくシーンを見たことはありませんが、
カモやイノシシやシカやらは、肉をいただいたり^^;。
おいしかったです。
by sakamono (2023-05-21 10:22) 

タックン

sakamonoさん こんにちは
青梅地方なら雉はたくさんいますね。
そうですね、私たち世代は動物でも野草でも
食べられるものはなんでも食べました。
そういえばウサギも時々食卓に乗りました。
イノシシやシカは今ジビエ料理として人気ですね。
お酒の好きな方にはごちそうなんでしょうか^^


by タックン (2023-05-21 13:45) 

風の又三郎

キジは又三郎の住む住宅地の外れを散策するとその鳴き声だけ聞くことができます。
毎年同じ場所で鳴いてますね、ケーン、ケーンって。
時によってはなんだか寂し気な声にも感じたりして。
「ほとんど寝てばかりのおばちゃん猫」ぎくっ!
何だか自分の事言われてるような。
と思うほど日中ウトウトが多い又三郎なり。

by 風の又三郎 (2023-05-22 16:40) 

タックン

風の又三郎さん こんにちは
いつも珍しい山野草や岩手の美しい風景を見せていただいて
ありがとうございます。
ケーンケーン、そういえば姿なく声だけの雉、もの悲しく聞こえるかもしれませんね。
風の又三郎さんのブログからはエネルギッシュにカメラを抱えて散策している姿が思い浮かぶのですが^^
by タックン (2023-05-23 09:56) 

そらへい

鶏を捌いた感触が残っていて
おいしく味わえないと言うことだったと思います。
by そらへい (2023-05-23 21:13) 

タックン

そらへいさん 
再度コメント、ありがとうございます。
捌いている光景は強烈に残っているのですが、食した時の美味しさも残っています。
一方で記事を書きながら、父はどうだったのだろうとも思いました。そらへいさんのお父様の美味しく味わえないと気持ちと同じだったかもしれません。
命を捌く方の人の気持ちは重いですよね。
今、捌かれる過程を目にすることもなく食肉を手にすることができて、命をいただく有難さが薄くなっているのではないかと、私自身にも問いかけています。
by タックン (2023-05-24 10:05) 

moz

少し前までは普通に? 野鳥やイノシシやシカとか食べていた時代なんですよね。食べるのであればさばかなくてはいけなくて…、それは普通の光景で…。
じぶんは目にしたことはないですが、一度でも見たことのある方にとってはきっと記憶に鮮明に残るのでは。そして、食べ物の命の尊さもですよね。
チューニャンちゃん、気持ち良さそう。すやすやですね。
誰でも生まれれば老いはやってきますから、それは受け止めつつ…、チャーニャンちゃん、タックンさんのお家で過ごせて幸せです ^^

by moz (2023-06-03 11:55) 

タックン

mozさん こんにちは
そうですよね。昔はどの家でも鳥やうさぎを捌いていました。
当時はそれが当たり前と思っていたのに、いまさらできないはないだろうなと思います。
今できることはその命を大事にいただくことなのですね。
この記事を書いていろいろ考えることがありました。
チューニャンの老いを見つめることも今の私に課せられたことかもしれません。
by タックン (2023-06-04 16:34) 

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