５月 つれづれ

先日の雨風はすごかった。
畑と畑の間が　水たまりというより　小さな池のようになっていた。
その池に映る空。思わず足を踏み込んでみたくなる。

　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　鳥が運んで来たのだろうか　柵のなかに桑の実が・・・。




アカツメクサやシロツメクサが　咲き出した。
今年は　丁度咲き出す頃に草刈りが行われて　やや少なめ。
それでも　あちこちに小さな花畑を作っている。
田舎にいた頃　咲いているのが当たり前で　特に気に止める花ではなかったのに
あるサークル活動で　都会からきたグループの人が　このアカツメクサを摘んで
牛乳瓶に挿し　さりげなくテーブルを飾ったのを見て　う～ん・・・と思ったのを思い出した。

　

『百鬼園日記帖』　内田百閒　から

この日記は大正６年から１１年にかけて書かれている。
母が生まれた頃だ。
そう思って読んでみると　母のルーツをたどって行くような楽しみがある。
約９０年も前　その頃の東京のモダンな 街の田佇まいも感じられて面白い。


その中に　これは何？　と思う言葉がたびたび出てくる。
例えば　「きりご」
　－きりごの声ほどうれしく、なつかしく、悲しいものはない。今年は昨夜始めて聞いた。
　　今夜も二ところで鳴いている。きりきりきりきりという声を聞くとすぐに岡山のうちの広い
　　台所を思い出す。店の者や倉の者の腰をかけて食事をする土間の卓子（テーブル）の
　　脚の下で、昔にきりごが頻りにないた。だれもいなくなった後は猶のこと鳴いた。
　　町子を恋いていた秋の夜に新座敷や八畳に寝ていると寝床の下の下で頻りに鳴いた。
　　山部にそういってやったら山部も、高梁のうちにいて頻りにきりごが鳴くといって来た。
　　其秋に血を吐いて肺病になった。きりごの声で思い出す感情生活は淋しくて沁み沁みと
　　している。今夜ここで聞いている声がまた私の思い出になると思うのも淋しい。
　　北の二階建ての家で西洋楽の蓄音器を鳴らした。騒騒しく毒毒しい音が、きりごの声に
　　聞き入ろうとする私の耳を乱した。人間の拵えた音楽と自然の声とを右と左の耳に聞き
　　分けなければならなかった。忌ま忌ましい蓄音器を踏み潰し度いと思った。音楽も芸術も
　　うるさくて、いらない。再現する手数も煩わしい。自然そのままの声を聞いて計りたい。
　　こおろぎと云い度くないから、きりごと書いた。　八月十七日夜

ついつい最後まで書き写してしまったけど（いいのかな？）　どうしてこおろぎと云いたくないのだろう。

また　「吹風琴」　そうだろうなぁと思いつつ調べると　ハーモニカだったり・・・
まだ　読み始めたばかりだが　いろいろ想像力をかき立てられて楽しい。




今日は日曜出勤の代休です。
せっかくの休みなのに　邪魔しないでとばかり　気持ちよさそうに寝入っています。
そういえば　この仔たちを拾ってもうすぐ１年が経ちます。
早いなぁ・。。。。

　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　

コメント 25

こんにちは＾＾
畑の水溜りに写る空が美しくちょっと驚くほど～
良いですね自然って～
内田百聞の文章も自然礼賛と映りましたがいかがかしら・・・
病人の神経質になった感じもありますけれど・・・
by mimimomo (2008-05-22 14:44) 

昔の暮らしには心を澄ますようなものがありましたね。そのころの小説を読んでも。内田百聞読んでことがありませんでしたが、読んで見たいと思いました。
by 風船かずら (2008-05-22 17:42) 

こんばんは。
ニャン子達、タックンさんのお家の子になって
もう１年ですか・・・。本当に早いものですね。
毛艶が良くてとても健康そう！
タックンさんのお家の子になって幸せですね＾＾
by 絵瑠 (2008-05-22 21:35) 

mimimomoさん　こんばんは。
あの日のような暴風雨はごめんですが
でも　思わぬプレゼントを置いていくことがありますね。
ホントに　自然は　美しく　そして楽しい＾＾
内田百閒は　風景を描写するのが上手いなあぁと思いました。
そう云えば　やや（おおいに？）神経質なところがありますね。
それが読者にはユーモラスに感じられて　面白いところです＾＾
by タックン (2008-05-22 22:35) 

風船かずらさん　こんばんは。
自分が読んでいるのを面白いと思うと
ついつい何度も書いてみたくなってしまいます＾＾
バスの中で読むことが多いので　こんな本ばかりです。
機会があったら　パラパラのぞいてみて下さいね。
by タックン (2008-05-22 22:41) 

絵瑠さん　こんばんは。
そうなんです。もう一年が過ぎました。
あんなに野良さんだったのが　今はすっかり家猫ちゃんです。
きょうだいでも　かなり性格が違うのですが　でも仲良し
毎日賑やかに暮らしています＾＾
絵瑠さん家のニャンコちゃんたちも　元気ですか？
by タックン (2008-05-22 22:47) 

おはようございます。
あの日は凄いお天気でしたね。１枚目の雲の写真ステキですね。
一瞬雪?なんて思っちゃいましたが(^^ゞ畑の中にたまった水に映った雲
なんだかとても情緒があって好きです(^^)

>牛乳瓶に挿し　さりげなくテーブルを飾ったのを見て　う～ん・・・

やっぱり、やはり野に咲けって感じでしょうか？
野の小花は、群生やこじんまり固まって花たちがおしゃべりしながら
風に吹かれて咲いている姿(この写真のように)が好きです。

ニャンの写真、絵みたいでとってもいいですね(^^)
写真頂いてもいいですか?m(_ _)m

by トリエル (2008-05-23 05:48) 

草刈り、入った後に咲いたのですね～～。
家の川原は・・・徐々に進んできています。
私も先日のシロツメ草をしばらく飾っていました。
葉っぱは夜しぼみ、朝広がります。あたりまえのことが、楽しかったです。
野草はすぐにしぼむかと思っていたら、案外大丈夫なんですね・・・
気をつけないと・・・お土産の虫が着いてきちゃうけど・・・
摘みたくなる花・・・いっぱ～いあります。


内田百閒・・・よくこの「閒」が・・・以前、何て読むのか、思案したことがあります。
今は、「聞」で表記されていることが多いですね。
この時代のは今や、ネオ古文・・・？　私には読み砕くには厳しいですが・・・
タックンさんのような根強いファンは絶滅してほしくないな～なんて、
勝手なことを思ってしまいました(^w^)
by こぎん (2008-05-23 09:34) 

百閒の読み？しゃっきん（借金）からですよね。
あと５０年もしたら、今のこの普通の風景がいとおしいものとして眺められるのでしょうかね。たぶん、そうだろうと思いますが。
なお、昨日は、帰り道で、オケラが鳴いていました。よく鳴いています。
by 春分 (2008-05-23 12:28) 

今晩は。これは大変な水溜まり。早く排水しないといけませんね。
内のハナはこのネコチャンのようにスリスリします。
by 夏炉冬扇 (2008-05-23 21:42) 

トリエルさん　こんばんは。
ううん　違うんですよ＾＾
さりげなくお花を飾る　そのセンスに都会の匂いを
感じたというか・・・こんな花が主役になるんだという
驚きだったのかもしれません＾＾

本当に　何も手を加えないと野の花はどんどんかたまって
増えていくのですね～　季節の花畑があちこちに・・・

猫の写真　嬉しいな＾＾
トリエルさんのところに飾って頂けるなんて！
顔が写ってないのがよかったのかも＾＾
ありがとうございます（＝＾．＾＝）

by タックン (2008-05-23 22:10) 

こぎんさん　こんばんは。
こぎんさんのお近くのセーヌ川（＾＾）にも
野の花がいっぱいですね～
川原も草刈りをするのですか？

いつか見せてもらった野の花だけの花束　素敵でしたね～　
やっぱり活ける人のセンスなのだと思います＾＾

内田百閒・・・私もちょっと近寄りがたいと思っていたのですが
『ノラや』を読んでから　すっかりファンになってしまいました。
『ノラや』　是非！　猫本としてはとても面白く切なく・・お薦めです。
と　また押しつけていますね＾＾


by タックン (2008-05-23 22:23) 

春分さん　こんばんは。
＞百閒の読み？しゃっきん（借金）からですよね。
えっ？　そうなんですか？
この日記を書いていた頃は　確かに暮らしに困っていたようですが
でも困っているくせに　その表現がどこかユーモラスなのですのです
このおかしみに　はまりました＾＾

あと５０年もしたら・・・この通信隊の風景も・・・私も・・・
跡形もなく消えていることでしょう・・・
変わらないのは　たぶん　この空と光と吹き抜ける風　
誰かが　ちょっとでも懐かしんでくれる　そんな記録を残したいと
思います。

オケラですか　オケラってどんな声で鳴くのだろう？

by タックン (2008-05-23 22:33) 

夏炉冬扇さん　こんばんは。
一夜で　こんなに水が溜まったのは初めてです。
火曜日に降った雨ですが　ようやく今日になって
足を踏めるようになりました。
今年は　荒れる雨の日が多いです。
今夕　ニンニクとエシャロットを抜いてみました。
粒は小さかったですが　ピリッとして美味しかったです＾＾
by タックン (2008-05-23 22:38) 

ホントに池のようですね。
わたしの散歩するところにもこの桑の実がありますが昔食べた桑の実はもっと葉っぱの大きな大粒のものでした。
あれでジャムを作りたいのですがなかなかお目にかかれません。
（＾＾；）
by アカシア (2008-05-23 23:22) 

アカシアさん　こんばんは。
珍しく遅くまで起きています（遅い時間ともいえませんが＾＾）

そう　桑の実　子どもの頃食べた桑の実は　もっと大きく
色も　黒ずんでいたように思います。
食べた後　手も唇も紫色に染まって　びっくりしたものです＾＾
桑の実のジャムって　お店でもあまり見かけませんね。
どんなお味になるのかしら。
by タックン (2008-05-23 23:32) 

畑の帽子さん
ナイスをありがとうございました＾＾
by タックン (2008-05-24 22:39) 

おはようございます。
コメントが遅くなりました。
雨の日曜日になりましたが少し蒸し暑さを感じる朝です。
また通信隊も雨で新しい草や花が咲いていますでしょうか
内田百閒は、昔から気になる方です。
生き方も
もう１年も経ちましたか　あの腕白が
大きくなりましたね。
by junsbar (2008-05-25 07:59) 

空がきれいだなぁ。
水たまりの中の空も発見ですね。
by manamana (2008-05-25 08:00) 

junsbarさん　おはようございます。
今朝のだいちゃんの散歩時には　小雨だったのに
今　どしゃ降りの雨になっています。
また　あちこち水たまりでしょうか。
そういえば　今朝もカモたちの散歩に出会いました。
草木も活き活きですが　カモも雨が似合いますね＾＾
『ノラや』はどうでしたか？
内田百閒　読めば読むほど　おかしみが感じられる人ですね。

クロネィもトントンも　相変わらず腕白で　可愛いです＾＾

by タックン (2008-05-25 09:28) 

manamanaさん　おはようございます。
このところ　雨の日が多くて空を撮ることが出来ません。
遮るものがないからでしょうか　ここは空を一周することが
できます。
足もとにも空　不思議な気持ちになりますよ＾＾
by タックン (2008-05-25 09:43) 

畑にできるこうした水溜りがなんとも懐かしいです。子供の頃、大雨の後によく見たような記憶があります。「きりご」は「きりぎりす」かと思って、読み進めていましたが、「こおろぎ」でしたか＾＾；。
by sakamono (2008-05-25 19:41) 

sakamonoさん　
この畑は　せっかく水が引けたのに　今日の雨でまたまた
池状態　池というより川　道路まで水が流れていました＾＾
大地は　これだけの水を吸収してしまうのですね。
「きりご」　私は何かの鳥かなとも思ったのですがコオロギでした。
どうしてコオロギではいけないのでしょうね＾＾
by タックン (2008-05-25 21:33) 

先日、雨上がりに自転車で境川沿いにでてみたら、ずいぶんと
水かさが増していて流れが速かったです。サイクリングロードに
できた水溜りに同じような雲が映っていてキレイでした。
やはり春は天気が変わりやすいですねぇ。
by po-net (2008-05-27 22:37) 

po-netさん
雨上がりのサイクリング　気持ちいいでしょうねぇ～
境川流域は　まだまだ自然が残っていて魅力的ですね。
今年は　ホントに雨がよく降ります。
今日もあちこち水たまり　ツバメが低空飛行しているのが
映っていました。
by タックン (2008-05-29 20:40)