空が恋しい・・・ [日々の眺め]
空を飛ぼうなんて 悲しい話を
いつまで考えているのさ
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ああ 人は 昔々鳥だったのかもしれないね
こんなにも こんなにも 空が恋しい
中島みゆき 「この空を飛べたら」
青空を見上げるたび、この歌を口ずさんでいる。
こんなにも・・・こんなにも・・・空が恋しい・・・
若い頃、空を飛びたいというヒサオクンに会った。
人なつっこい笑顔。牛小屋の二階を改造した彼の部屋
その部屋中に貼られていた秋吉久美子のヌードポスター。
長髪をなびかせて走り飛ばしていたオートバイ姿。
酒を一滴も飲まないのに、いつも笑いの中心にいた彼は
自称「優秀な大工」だった。
その彼が、突然空を飛ぼうと言い出した。
そのころはやりだしたハングライダーに挑戦しようというのだ。
資金集めと称して「○○町鳥人会」なるものを勝手に結成し、
一人５００円のカンパを募った。
本当のところ、誰も彼がそれを実現することなど信じていなかったと思う。
それでも、彼の話に惹かれるところがあったのだろう、冗談のつもりで
何度かカンパした。
資料を集めたり、ハングライダーの映画を見に行ったり、仲間とわいわい
やっている彼は素敵だった。
私も数人の仲間たちも、彼の「夢」に参加することで、若い時代を共有していたのだろう。
それから何年か過ぎて、それぞれがそれぞれの人生を歩き出し、年月を重ね出した頃、
彼が空を飛んでいるという噂を聞いた。
確か結婚して二人の子供がいるということだったのに、彼は自分の夢を実現していたのだ。
彼がハングライダーで空を飛んでいる写真を送ってくれた人がいて、それに添えられた手紙には
「地元の空を悠々と飛ぶ姿を羨む人もいるけれど、多くは小さい子供もいるのにいつまで無茶を
しているのかとかなり批判的です」という文章があった。
しかし、広々とした田園風景の中を、ハングライダーを操縦して空を飛ぶ彼の姿は、私をわくわく
させた。彼が少しも変わっていなかった事にも安心した。
その彼が死んだ。
ハングライダーで飛行中、川への転落死だった。
町中が彼のその死を噂した。
－好きなことをやって死んだんだから本望だろう
－残された奥さんと子供はどうするのかね
－ヒサオらしいな
－馬鹿なことしてからに・・・
川に浮いた彼の身体には、カマイタチに切られたような鋭い傷があったという。
一滴の血もなくポッカリと開いていたという。
私は、彼が広い空の下で
何もかもから自由になったとき、異次元の穴を覗いてしまったのかもしれない
と思った。
ああ 人は 昔々鳥だったのかもしれないね
こんなにも こんなにも 空が恋しい
今朝も 澄んだ青空。
美しい空を有難うございます。
こちらは、田舎で、田んぼや畑、花や家並みを写真に写しています。
ブログ写真を写さなくてはと、気になるところ、花、景色、・・写していますが、夕焼けを狙ってみます。日本海側は、夕焼けが見ものですから・・・。
by みと (2006-06-11 00:27)
「この空を飛べたら」がぴったりの記事です。空を飛ぶことは、きっと、途中でやめることができないくらい魅力があることなのでしょう。
by レイン (2006-06-11 10:00)
お早うございます。「異次元の穴」とは言い得て妙、誰にでもありますね。それで名を掴む人、金を得る人、そして死ぬ人。
こちら蒸し暑い。
by 夏炉冬扇 (2006-06-11 10:52)
普通に考えても、大空を飛ぶという爽快感は魅力的でしょう。
夢を追いかけて、そして実現させて幸せだったでしょうね。
結果は・・・残念だったけれども、そうなったとしても周囲の人間がとやかく言うことではないですよね。 １度きりの人生だもの・・・。
by 風の又三郎 (2006-06-11 13:50)
みとさん こんにちわ！
そちらも今日は雨でしょうか？
ブログ、見せて頂いています。写真もいつもすばらしい！さすがです。
海に夕日、楽しみにしていますね。
by タックン (2006-06-11 15:32)
レインさん こんにちわ！
もう少し若かったら（？）、空を飛んで見たいですねぇ。
鳥の目になって世界を眺めて見たいです。
by タックン (2006-06-11 15:39)
夏炉冬扇さん
異次元の穴を覗いてしまったことがはたして幸せだったのかどうか・・・。
今日はジャガイモを試し掘りしました。
結構大きくなっていて、まぁまぁの出来でした（＾＾）
by タックン (2006-06-11 15:48)
座敷わらっしこさん
そう・・・人がとやかく言うことではないですよね。
彼は幸せだったはずですもの。そう思いたい・・・。
青い空は、人の心をセンチメンタルにさせる何かがありますね。
by タックン (2006-06-11 15:57)
青空を全視界に捉えてただ無心で見ていると、どちらが上が下か、
天なのか海なのか分からなくなってしまいます。
吸い込まれるように青い粒子の中に、いっそ飛び込んでしまいたい
なんて考えたりして・・・
ヒサオさんの夢が、今日の厚い雲の上に輝く青空を翔けめぐっている気がしました。
by パキちゃん (2006-06-11 16:24)
毎日うっとうしい雨空が続く中で空の青さに感激です。
誰にも、夢があって、自分の望みがあって、それは危険と紙一重のときもあります。
でも、危険な夢を追うなら、一人で追ってほしかったな。
悲しむ人はできるだけ少ない方がいい。
by ｍａｍｉｒｅ (2006-06-11 22:48)
パキちゃんさん
ここ数年、青空を見上げては何事もケセラケセラと
自分に言い聞かせています。
いろんな事がどうでもよくなって・・・、そんなとき空を飛べたらなぁと
気がつくとこの歌を口ずさんでいます。
by タックン (2006-06-11 22:56)
もうひと月も前の記事なのに、何度もここへ来てしまいます。
何度読んでも、悲しい・・・。
空を飛びたいという夢は、誰もが心のどこかに抱えている夢ではないかと思いました。私も、飛びたかった・・・。空を飛ぶと、きっと全く違った世界が見えるのでしょう。
人々の太古からの記憶が、無意識の領域でつながっていると言われるように、あの青い空には、宇宙には、無限の記憶が渦巻いているのではないかという気がします。彼はきっと、空へ帰っていったのでしょうね。いつか私が空を飛ぶとき、その人に会えるでしょうか。
ケセラセラ、という言葉さえ、吸い込まれてしまいそうな青い空ですね。
by こーさん (2006-07-20 22:57)
こーさんさん
こーさんさんのコメントを読んで、ちょっと胸が熱くなりました。
私もヒサオクンのことを想うと、いつも悲しいのです。
空を独り占めして、あの人なつこい笑顔のまま吸い込まれてしまった彼、
いつか会えるような気がしてなりません。
＞宇宙には無限の記憶が渦巻いているのではないかという気が・・・
そうかもしれませんね
空を見上げていると、解放されると同時に、何か懐かしい気持ちになりますものね。
by タックン (2006-07-21 21:42)