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『そうかもしれない』 [日々の眺め]

何週間か前、ラジオに雪村いづみさんが出ていた。
映画『そうかもしれない』に出演したという話で、役柄の認知症になった作家の妻を演じた話をしていた。雪村いづみさんが認知症の老人? それはさておき 『そうかもしれない』
耕治人さんのこの本は、だいぶ前に読んだことがある。
『どんなご縁で』『天井から降る哀しい音』など、子どものいない老夫婦の晩年を書いた一連の私小説のひとつ。
妻が認知症になり、自分もガンを患い、極貧の中で老々介護をする作家の日常生活を、淡々と書き描いた小説だ。
とても切ない物語だったが、不思議に「そうかもしれない・・・」 と思わせられてしまう、何というのだろうか・・・自身に降りかかるすべてを受け容れていく作家の生き方に、哀しいんだけれども清い、ある種安らぎを感じさせられていく小説。
これは以前、耕治人さんが亡くなったあと、NHKでドキュメンタリーとして放映したことがある。
滝沢修さんがナレーションで、すでに二人がいない家を映し出す手法で、全く二人の姿がないのに、二人の哀しい暮らしが見えてきた印象に残る作品だった。

映画は、12月15日までとか、たぶん見ることはないだろうなぁ。
本も、もう一度読むことはないなぁと思いながら、書き残された作品がこうして広がっていくことは作家にとっては幸せなことなのだろうなと思ったりした。

今日は、終日雨。
わが家のニャン太も、きょうは 寝子。


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コメント 17

レイン

今日は一日中冷たい雨が降っていました。
ネコを漢字で書くと「寝子」だったのですね。
by レイン (2006-12-09 20:28) 

春分

認知症の話は簡単にはコメントしにくいですが、
いつもながらタックンさんの写真は、私の趣味にとても合致します。いいです。
by 春分 (2006-12-09 20:50) 

絵瑠

タックンさん、こんばんは。
タックンさんは色々な御本を良く読まれていらっしゃいますね。
見習わなくては、と思います。
「寝子ちゃん」、なるほどです。一人だけ外に出たがる我家のニャンも
さすがに今日は家の中でおとなしくしていました。
by 絵瑠 (2006-12-09 20:53) 

タックン

レインさん こんばんは。
寒い日でしたねぇ~ 今朝もめげずに通信隊を歩きました、だいちゃんと。
わが家のニャンはこの通り、一日中寝ていました。ホントによく寝ます^^
by タックン (2006-12-09 22:05) 

タックン

春分さん こんばんは。
いつも見てくださって、沢山ナイスをありがとうございます。
カメラも腕も、それこそB級なのですが、春分さんの琴線に少しでも引っかかってくれていたら、とてもうれしいです。励みにしますね^^
by タックン (2006-12-09 22:28) 

タックン

絵瑠さん こんばんは。
この頃はじっくり本を読むことが少なくなりました。
最近は、15分くらいの「バス読」ばかり、もっと時間が欲しいです。
「寝子」、本当によく寝ますよねぇ~ 羨ましい^^
by タックン (2006-12-09 22:35) 

かすかなのですが、記憶があります。
夫が介護に回るのは、厳しいものがあるかもしれません。。。とは言ったってね~、いつどうなるか・・・ダレも分からないし。
日本の福祉がもっと充実してほしいです。この国を動かしている人達は無駄な金ばかり使っているようで・・・。
にゃんこの寝顔は。。。ホントに幸せそうです。
by (2006-12-09 23:27) 

タックン

こぎんさん こんばんは。
こいう問題は人ごとではありませんね。
どんなサービスを受けられたとしても、自分自身が老いを受け容れることができるかどうかなんどろうなと思います。
ニャンは、いいですね~ ひたすら今を生きています^^
by タックン (2006-12-10 20:29) 

TRUE-PICT  yoshizawa naoki

おひさしぶりデス

先月、実家のクロ(猫)が老衰で亡くなりました
晩年はやはり 猫といえどもややボケ?でしたが・・
安らかに旅立っていったクロをみると自分もこういう風に旅立ちたいものだと考えるのです
by TRUE-PICT yoshizawa naoki (2006-12-10 21:34) 

タックン

よっしー凸凹さん こんばんは。
お久しぶりデス^^ モンちゃんは元気かな?
そうですか・・・老衰で・・・お母様の所に行ったんですね。。。
by タックン (2006-12-10 22:01) 

sakamono

淡々と書かれた切ない小説。そんな小説に魅力を感じてしまいます。厳しいお話のようですが。耕治人さん,「天井から降る哀しい音」など、名前だけは聞いたことがありましたが...読みたい小説がどんどんたまっていってしまいます。
by sakamono (2006-12-10 23:03) 

タックン

sakamonoさん
一時期、「老い」の本ばかりを読んでいたときがありました。
母の介護で「老い」が、その頃の私のテーマみたいなものだったのです。
この本もそのころ出会いました。
とても哀しい本でしたが、耕さんは作家の目でこれらを書かれていて、淡々と
「老いを生きる」ことの意味を問いかけていたんだと思いました。
by タックン (2006-12-11 22:42) 

アッキー

階段の写真が・・・・・・・人生の下り坂なんでようか?
まだまだ下りたくはないですけどね
年齢だけはいやでも過ぎていってしまうし、
いつか自分も認知症になるかもしれない・・・・・・
政府は弱者を切り捨てようとしてるし・・・・・
なんだか深く考えてしまいました (^。^)

本当に老いをどう生きて行けるんだろうか・・・
by アッキー (2006-12-12 12:49) 

タックン

junsbarさん ナイスをありがとうございます。
by タックン (2006-12-12 20:31) 

タックン

アッキーさん
人生の下り坂・・・立ち止まり、立ち止まりゆっくり降りています^^
若い日の、これを登ったら何があるのだろうという未知への好奇心
その頃が懐かしいです。
でも 戻りたいとは思わないのですけどね・・・
by タックン (2006-12-12 20:49) 

Ryu

また一つ歳を重ねる事になる。認知症で困っている人も沢山いる。自分には関係ないと思っているが、そんな自分にそういう時期が来るのだろうか?元気なうちに出来ることをやっておきたい…と思って暮らしています。
「下り坂 スピード上げれば 上り坂」
by Ryu (2006-12-25 13:48) 

タックン

Ryuさん
先のことはわからないですね。わからないから生きていけるのでしょう。
この歳になると、どうしても「老い」について考えてしまいます。
おぉ~!スピード上げれば 登り坂 ですか!
スピードがでるかどうか微妙なところですが・・・頑張ってみますね^^
by タックン (2006-12-25 21:06) 

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